新潟県で闇金勧誘メールを利用し紹介者から多額の請求を迫られた体験

あれは、10年以上前のことでした。

当時の私は、教育ローンや手術費用を分割で払っていたため、少ない収入からやりくりして借金を払っていました。

そんな生活に疲れてしまったのか、何気なくCMで観た大手消費者金融で10万円を簡単に借りられたことで味を占めてしまい、複数の大手の消費者金融の限度額いっぱいの借金に膨れ上がるまで2年もかかりませんでした。

毎月の支払金額が手取り収入とほぼ同額になってしまっているという恐ろしい状況でしたが、新しい借入先を探し自転車操業で生活する日々です。

当時は消費者金融も返済能力のない若者に対しても平然とお金を貸してくれる時代でしたが、さすがに借金が膨らみ300万円を超える頃には新規の申し込みも拒否される状況になってしまいました。

困り果てた私は、ギャンブル雑誌や成人誌の広告に載っているような聞いたこともないような企業へも借り入れの申し込みを繰り返していたのです。

新規の申し込みを断られ続け、次の利息返済期日が迫っていた頃携帯電話のメールに「どんな方にもお貸しします」という自分にとって救いの神のような勧誘メールが届いていたのです。

私は記載されていた連絡先の携帯電話番号へ即座に電話しました。
紋切り型の質問を受け、現在の借り入れ状況を伝えると「さすがにお貸しすることは出来ません」とうたい文句とは正反対の言葉が返ってきました。しかし、自分のところでは貸すことは出来ないが確実に貸してくれる店を紹介することが出来る、と言うのです。

当時私は新潟県新潟市中央区に住んでいました。
電話の相手はAと名乗り、新潟駅近くの消費者金融会社に行けば確実に貸してくれるとのことでした。電車を乗り継ぎ、指定された住所へ向かう途中何度も確認連絡を入れるよう指示されていたので、電話で話しながら向かった先は隠れたような場所に建っている雑居ビルでした。
電話では「業界の繋がりで、先方には予め話を通しておいたけど、紹介するのは違法行為にあたるので絶対に言ってはいけない。
向こうはウチから紹介されてきたのは知っているけど、窓口でその話をされてしまうと取引してくれなくなるし、ウチの信用も落ちるので絶対に言ってはいけない」と何度も何度も念を押されたのを今でも覚えています。

いざ、指定された店に入ってみると、ごく普通の消費者金融の窓口でした。
店舗内には、たしかに強面の男性社員も数名いますが受付の人は女性で礼儀正しく、想像していたのとは違う健全な店舗で安心しました。
大手の会社と同じように手続きを取り、20万円までなら即日融資可能ということだったので限度額いっぱいお願いし、無事20万円借りることに成功したのです。
これで他社の利息を支払えば、また借り入れられるようになるので、給料と合わせて無事乗り切れると思い安堵していたところに電話が掛かってきました。

紹介してくれたAです。
Aは、いくら借り入れできたのかを確認してきました。
予め話が通っているはずなので、ちょっと変だなと思いつつ正直に答えると、紹介料に加え、電話サポート16万5000円代をその足で銀行から振り込めというのです。
借り入れ金額の3/4を超える金額に驚愕し、高すぎると抗議すると今までの態度とは一変恫喝して来たのです。

「今後どこからも借りられないようにしてやる」「夜逃げの算段をしていると、他の消費者金融にふれまわるぞ」「家族や会社にも迷惑が掛かるだろうなぁ」など他にもいろいろ言われ、恐ろしくなって来ました。

何しろ、Aと最初に電話した際に、借り入れる為に私の情報はもちろん、勤務先や実家の住所、年収まで伝えてしまっているからです。
自分と周りのの情報を全て知られてしまっている相手に脅されて恐怖を感じてしまった私は言われたままの金額を振り込んでしまったのです。
20万円の借金が増えたのに手元に残ったのはわずか3万5000円という状況に愕然としてしまいました。

後から知った話ですが、紹介された消費者金融は当時知名度は低かったものの、準大手の様な存在で融資基準が他社より低かったために、借りたい人にとっては穴場の様な会社だったのです。

わざわざ紹介料を払わなくても、ここなら普通に借りられていたのだと気付いた時には遅すぎました。
Aの携帯電話に電話しても「現在使用されておりません」のメッセージが流れ、一向に捕まらないのです。
メールも同じように、「宛先に届きません」というメッセージと共に送ったメールが帰ってくるだけでした。
おそらく、誰が融資の申し込みをしても自ら融資はせず、融資基準の低い会社を紹介して紹介料と電話サポート代をだまし取るのが目的だったのです。
幸いにも紹介された会社は優良企業でしたので、執拗な追い込みなどは行われず、多少返済に送れても待ってくれるところでした。

今となっては本当に馬鹿な話として振り返ることが出来るのですが、当時は頭がマヒしたかのようにとにかく借り入れをしなければ終わってしまうという強迫観念だけで動いていたように思います。

余談ですが、紹介してもらって数日後から自宅に大量の手紙が届くようになりました。
内容はどれも同じで「返済期日を過ぎたので20万円今すぐ返済すべし」といった内容です。
こいつからはムシれると思ったのでしょう。
実際に借り入れていない会社から毎日束になって「金払え」「ここに振り込め」と手紙が届くのです。
でも家に誰かが乗り込んでくるということも無かったので、その程度で済んで良かったと逆に思いました。