親が闇金からお金を借りていた

私の親は自営業で、経営がよいときと良くないときは極端でした。
ちょうど経営がよいときに「このままいける」と思ったのか全財産をつぎ込み、自営で必要な商品を購入したのですが、直後に経営がよくない状況になり、ものを売れる状態ではなくなってしまいました。

顧客もいたことはいたのですが、そんなに毎回購入するようなものを扱っているわけでもないので、今あるので充分、といわれてしまい、そこから転落人生の始まりでした。

売れないならもっと買えばいい、いいものを買えば売れる、という親のバカな思考から沢山商品を購入し、しかし売れないのでどうしようもない在庫数でした。
そして、商品を購入するのにお金がなくなったので、闇金からお金を借りてしまいました。

当時は闇金とはいえ、保証人が必要だったらしく、父親は何を思ったのか、その場にいない母親を保証人にしたのです。
サインも適当、ハンコも適当です。
私はもう詳しく分かりませんが、このときの保証人はその場でサインしたのかそれとも父親が書類を持ち帰って自分で筆跡を変えてサインしたのか分かりませんが、父親には愛人がいたので、母親の偽者としてサインさせた可能性もあるんですね。

闇金からお金を借りても経営がよくならないですし、お客さんがくるよりも闇金のお金回収の人のほうが頻繁に我が家にきていました。
母親はその時点でも、自分が保証人にされたことは知りませんでしたし、私たちは「知らんおっさんがよくくるな」程度にしか認識していませんでした。

そのうち、闇金に追われた父親は逃げ出し、どこかのホテルで自殺未遂をしてしまいました。
そうして闇金からお金を借りていることが明るみに出て、母親がとても怒っていました。
自殺未遂しようが追いかけてくるのが闇金です。

当時は警察に闇金業者を取り押さえる抑止力はなく、父親が自殺未遂して運ばれた病院の病室前に警察官がいたのは衝撃的でした。
病室まで入ったらダメだけど、目の前には闇金屋さんがいるのです。
そんな父親に会わせないように母親が気を使ってくれて、その後父親と会うことはありませんでした。

母親は自分が保証人になっているのを知ると、自分の知り合いである闇金の親玉、というかまぁちょっとそういう裏世界の人に連絡をとり、保証人から外してもらうこと、今後借金に関して母親サイドにこないこと、を約束させました。

警察は役に立たないのに、裏世界の人は役に立つなぁ、毒を持って毒を制すってこういうことなのか、と他人事のように思いました。