年金担保金融というと、WAM福祉医療機構が運営していた、年金担保貸付を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、今回紹介する年金担保金融というのは、闇金業者が展開しているプランの一種になっていて、年金を担保に貸付をするという仕組みになっていることが特徴的です。
一昔前までは年金を受給している人でもキャッシング会社や消費者金融を利用することができたために、このような闇金業者のプランが発生したのは、ここ10年ほどだと思われますが、似たようなプランに生活保護金融というようなものもありますので、同じようなものだと解釈してもらえれば問題ありません。
それでは、年金担保金融について詳しく紹介していきます。
『高齢者をターゲットにした、年金担保金融の実態について』
2016年現在では、年金を受給することができる年齢が65歳からだとされていますが、2020年、2030年には、さらに高齢化することが予測されます。
その話は横に置いといて、年金担保金融についてですが、基本的に年金を担保にして貸付をする闇金業者のプランとなっていますので、対象者は65歳以上の高齢者ということになります。
年金担保金融というのは、闇金業者に年金証書や年金が振り込まれる貯金通帳、銀行印やキャッシュカードなどを預けて借り入れをするという仕組みになっていて、2ヶ月に1度振り込まれる年金を担保にお金を借りるというのが特徴になっています。
しかし、年金というのは、国民年金法という法律が司っていて、年金の権利を譲渡したり、年金を担保にしたりすることは法律によって禁止されていますので、当然の事ながら違法行為ということになります。
そのため、年金を差し押さえするというようなことも出来ませんので、法律上では年金を担保にして融資をしてもらえるのは、公的金融機関のみとなっていますので、一般的な貸金業者が年金を担保に貸し付けをするという時点で闇金業者だということになります。
『独居生活の寂しさから、年金担保金融を利用してしまう人が多いのが問題』
近年では、核家族化という傾向も強く、親と一緒に生活をしている人も昔に比べると遥かに少なくなってきました。
その結果どのような現象が起こっているのかというと、「独身の高齢者」という現象が多くなっています。
また、生涯未婚率も男性で20%を超えるとされている現代では、これから先、一人暮らしの高齢者が増えるとされていて、日常的な寂しさを紛らわせるために年金担保金融を利用してしまうという人も急増するのではないかと予測されます。
ここで、「寂しさから闇金業者を利用することが分からない」という人も多いと思われますので、説明させてもらうと、闇金業者というのは正規の貸金業者ではありませんので、少し返済が遅れると「取り立てに来る」ということが挙げられます。
この取り立てというのは、基本的に利用者からすると悪質な行為となるのですが、一人暮らしの高齢者からすると、「定期的に来るお客さん」というようにも受け取ることが出来ます。
自分が返済をしなければならない立場にあるので、客観的な立場で見るとお客さんになることは無いのですが、「会話ができる」というのは一人暮らしの高齢者からすると、イベントのような楽しさがあるという人も多いです。
そして、闇金業者についてもこれらのことについて理解しているということも多く、利息を多く払ってもらうために、足繁く高齢者のもとに通う闇金業者も多くなっていることが挙げられます。
『完済したのに年金を返してもらえない人が多い』
年金担保金融というのは、何度も言っていますが、闇金業者が展開しているプランの一つです。
そして、上記でも紹介しましたが、年金担保金融を利用する際には年金に関わる全てのアイテムを闇金業者に預けるのが基本になっていますので、年金が振り込まれたとしても自分で使うことができなくなります。
この理屈から考えると、借金を完済すれば預けていたアイテムを返してもらえるということになるはずですが、実際には年金証書や通帳、銀行印などを返してもらえることがなく、連絡をしても取り合ってくれることもなく、どうすれば良いのか分からないという高齢者が多くなっているのが問題視されています。
また、こちらについては高齢者独特の問題かもしれませんが、「自分が騙された」という現状を認めたくないということから、警察や弁護士などの関係者に相談をすることもなく、身寄りもないために、他に相談をする相手もなく、年金を使うことが出来なくなってしまった高齢者が急増しているとされています。
そして、もう一つ言っておくと、年金担保金融を利用しなければならないような状況になってしまった人の場合は、収入を得ることができるケースも少なくなっている場合が多いために、借金を完済することが出来ずに、何をすることも出来なくなってしまうパターンが多くなっているために、年金担保金融のようなキャッシングは絶対にしないように気をつけてください。