名義貸し金融という市場調査を装った闇金業者の手口

■ 市場調査を装った闇金業者の手口の一つに、名義貸し金融というものがある

「名義貸し」という言葉に対して良い印象を抱いている人は少ないと思われます。

大概の場合、名義を貸して欲しいと頼んでくる人というのは切羽詰っている状況の人か、自分の持っている資格を使いたいが為に頼んでくる人が多いと思われますが、今回紹介するのは闇金業者が展開している手口の一つで、名義貸し金融と呼ばれている内容になります。

闇金業者と名義貸しという行為について結びつかない人も多いと思われますが、実際には闇金業者に対して名義を貸すのではなく、名義を貸したのと同じ状況に追い込まれるということから「名義貸し金融」という名称が付いていますので、名義貸し金融というのが、どのような手口なのかということについて詳しく紹介していきます。

■ 市場調査を装った、名義貸し金融の詳細について

名義貸し金融という名称が付いていますが、手口の内容としては、名義を貸すという意識を被害者にさせないのがポイントなっています。

まずは市場調査のリサーチ会社などを装った闇金業者が、学生や若者などのアルバイトを集めるところからスタートします。

そして、消費者金融やクレジットカードなどの利用限度額や審査の内容などの市場調査をしたいという名目で、集めた若者たちに消費者金融やクレジットカードのローンカードを作成してもらうことになります。

この際に、「市場調査という内容を通達するとバイト代を出すことが出来ない」ということについても含ませておきます。

その後、個人個人にローンカードやクレジットカードが発行されることになると思われますが、これらの利用限度額の1割程度を報酬として若者たちに支払い、ローンカードやクレジットカードについては闇金業者が処分をする、または代わりに返済をすると言って若者たちを解散させます。

この際に、ローンカードやクレジットカードについては闇金業者が全て回収するのがポイントになっています。

そして後日、それらのローンカードやクレジットカードを使って限度額まで借り入れをした後で闇金業者は姿をくらますということになりますが、ローンカードやクレジットカードの名義は若者たちのものとなっているために、返済をする責任があるのは、実際に作成をした若者たちということになります。

このように、若者たちが直接的に名義を貸したという意識はありませんが、実際には名義を貸してお金を借りてあげたという状況になっているために、この手口のことを名義貸し金融または名義貸し商法というように呼ばれています。

■ 名義貸し金融は、契約の仕組みを理解していない若者たちを使うのがポイント

名義貸し金融というのは、クレジットカードや消費者金融の仕組みをよく理解している人には通用しないということが良く分かると思われます。

そのため、名義貸し金融の被害に遭遇してしまいやすいのは、今までにクレジットカードを作ったこともなく、消費者金融も利用したことがない若者が騙されるケースが多くなっていて、市場調査を装った闇金業者が募集する若者たちに関しても「今までにクレジットカードやローンカードを作ったことがない人限定」というような謳い文句で募集していることも多いです。

重要なのは、このような市場調査が詐欺ということではなく、闇金業者が市場調査を装って詐欺行為を働いたということが重要になっていますので、実際にリサーチ会社などが市場調査を行ってアルバイトの求人を出しているということもありますが、そのような場合にはローンカードやクレジットカードを回収するということはありません。

当然の事ながら、作成したローンカードやクレジットカードというのは申し込みをした本人に権利があるということになりますので、権利を奪い取るような行為を正規のリサーチ会社が行うはずがないということになります。

■ 名義貸し金融の被害については、被害者が理解していれば防ぐことができる

名義貸し金融の仕組みについては、上記でも紹介しましたが、これらのことから分かるのは、「名義貸し金融の被害は、被害者が理解していれば防ぐことができる」ということです。

クレジットカードやローンカードを作成するまでは問題ないかもしれませんが、作成したローンカードやクレジットカードは、「誰が使用しても自分に請求されるアイテム」ということになります。

そのため、被害者の言い分としては「自分は騙されただけ」「自分は使ってない、カードを回収した業者が使った」というような話を耳にしますが、契約時に交わした契約書をよく読んでいれば十分に防ぐことができる内容になっています。

確かに、契約書のような細かい字を全て読んでいるという人は稀かもしれませんが、市場調査のような特殊な状況にあって、消費者金融やクレジットカードを契約しなければならない状況というのなら、対策をいくら取っても足らないかもしれません。

それだけ、「契約をする」というのは、重い行為だということを知っておいてください。